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「生理痛がつらい」 漢方薬でやさしく治してみませんか?

 女性で「生理痛」の悩みを持っている人は多いのではないでしょうか。
生理痛は主にプロスタグランジン(PG)という「痛み物質」が子宮や骨盤周囲に作用して起こります。PGは、子宮を収縮させ、不要になった子宮内膜を経血とともに体外に押し出すために分泌されます。思春期は、経血の出口である子宮口が狭いのでPGの働きが強くなり、症状がひどくなる傾向があります。また、PGには、血管収縮作用もあり、骨盤周りの血流が停滞しやすくなり、腰の辺りが重だるかったり、下半身が冷えやすかったりします。また、胃腸の血流が悪くなり吐き気や下痢や便秘を引き起こしたり、頭の血流が悪くなって頭痛がひどくなったりします。 
 15-50歳までの女性で月経困難症(生理時に随伴する痛みで困っている人)の人数は800万人以上いるといわれ、そのうちの10%程度しか産婦人科を受診していないというデータがあります。
 通常成人の西洋医学の治療薬は、避妊薬として普及している「ピル」と同等のホルモン剤になります。しかしピルの成分の卵巣ホルモンは、成長期の子供に使うと、骨端線が早く閉じ、身長が伸びなくなる危惧もあるので、できれば他の薬剤を選ぶことをお勧めします。鎮痛剤も大人が使うものでは子供では副作用が出る場合があり、とくに15歳以下では制限があり、アセトアミノフェンしか推奨されていません。
 漢方医学では、生理痛や月経困難症は、主に血液や血液循環の異常で起こるととらえています。漢方の考え方のひとつに、「気・血・水(き・けつ・すい)」という概念があります。これは、気・血・水のバランスが取れている状態が心身共に健康であり、これらの1つ、あるいは複数が異常をきたし、3つのバランスが乱れると、病気や不健康な状態を招くという考えです。「血」の異常のうち、血行が滞って血行不良になる「瘀血(おけつ)」に対しては駆瘀血剤(くおけつざい)、血液が不足した「血虚(けっきょ)」にはそれを解消する補血剤といわれる漢方薬を用いて、血の異常を治し、生理痛を和らげます。
 器質性月経困難症の場合は、子宮筋腫や子宮内膜症など原因になっている病気の治療と並行して漢方治療をしていくこともあります。
 機能性月経困難症の痛みの原因は、子宮の強い収縮、骨盤内のうっ血、自律神経の乱れ、イライラや怒りの感情などが挙げられます。漢方薬を処方する際は、漢方医学に基づく診察を行います。痛みなどの症状はもちろんのこと、その人の体質なども考慮した上で、その人に合った漢方薬が処方されます。例えば、瘀血がひどい時は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、水の捌きが悪くむくみやすい時は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や温経湯(うんけいとう)などがよく使われます。精神的な症状が強い場合は加味逍遙散(かみしょうようさん)や女神散(にょしんさん)、胃腸症状が強い場合は、気を補う補気剤や利水剤などを追加することもあります。このほか、生理に伴う強い収縮によって起こる腹痛に収縮を抑制する芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)が使用されることもあります。婦人科的に器質的な問題がなく、専門的な手術などの治療が必要でないなら、漢方薬に詳しいドクターを受診してみてはいかがでしょうか?その先生が小児科医や婦人科医でなくても、東洋医学的な診察をして薬を出してくれるので、老若男女、誰でも受診でき、年齢的な違和感は持たずに済みます。からだにやさしい漢方薬で生理の時期を快適に過ごしてみてはいかがでしょうか?
 それ以外の生理痛対策としては、シャワーだけで済まさず、浴槽に浸かっての入浴や足浴などで腰やおなか、足もとを温める、からだを締め付けるGパンなどの服装は避ける、軽くストレッチしてからだを動かして、血流をよくする、感情のコントロールのためにリラックスして過ごすことも大事です。