エッセイ 女王様の退屈

第5章 パンツ


その晩は同窓会があるとかで女房が留守で、

適当に夕食を済ませ、1人でシャワーを浴びた。

鬼の居ぬ間のなんとやら、明日までは1人だ

からのんびりできる。そんなことを考えながら、

シャワーから上がりテレビに見とれながら、

パンツをはこうとして片足を上げた。

ところがどういうわけか挙げた方の足の小指が、

パンツの縁にひっかかってしまった。

すぐに足を下ろせばすむものを、そのまま片足

飛びをしてバランスを取ろうとしたのが間違い

の元だった。私はそのままバランスを失って

後ろ向きにひっくり返り、後頭部をしこたま床

で打ってしまった。

割れてしまうかと思うほどの痛みで頭全体が

しびれている。すぐには立ち上がれないまま、

私はいろんなことを考えてしまった。

小指はパンツの縁ににはさまったままだ。

 

『大したことがなかったから良かったけれど、

もし、もっと強く頭を打って死んでしまってたら、

まず第一発見者は明日帰ってくる女房に

なる。足の小指のにパンツをはさんだまま、

素っ裸であおむけになって死んでいる亭主を

見つけて、どんな反応をするだろう?』

いくつかの答えが頭に浮かんだ。

第1の答え;『姿を見て大笑いし、死んでるのに

気づいて号泣する 』

第2の答え;『死んでるのに気づいて号泣するが、

その姿を見て大笑いする。』

同窓会から帰ってきた女房に早速聞いてみると

どちらでもなかった。

第3の答えは『とりあえず泣くが、

葬式が終わってからゆっくり笑う 』であった。

 


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